![]() |
English
日本語
|
![]() |
日本語 English |
|
|
|
東京科学大学が遺伝子治療の効率化に資する手法を開発し、アメリカ化学会の学術雑誌に発表しました(Honda Y et al. Adeno-associated virus self-assembled with tannic acid and phenylboronic acid polymers to evade neutralizing antibodies and reduce adverse events. ACS Nano 19: 7690-7706, 2025)。この研究で使用されたアデノ随伴ウイルスは、人間に無害なウイルスで神経細胞への遺伝子導入性が良いことから、すでに神経難病などの疾患に対する遺伝子治療に利用されています。しかし、同ウイルスを1回使用すると、そのウイルスに対する抗体が体内で産生されて、2回目以降の遺伝子治療の効率が低下する欠点がありました。さらにこのウイルスは肝臓に集まりやすいため、大量のウイルスを投与する治療が難しいことも知られておりました。東京科学大学の研究チームは、タンニン酸(お茶とワインに含まれる成分の一つ)を主体とする膜で、このウイルスを覆うポリマーのナノ粒子を作成して実験をしたところ、ウイルスに対する抗体があっても十分に目的の細胞に遺伝子を運ぶことができ、しかも肝臓への無差別な取り込みが低下したということです。したがって、このナノ粒子を使用すると、これまで以上に神経細胞に対する治療効果が増加することが期待されます。
引用文献 DOI link:10.1021/acsnano.4c11085